今このサイトを見ているあなたは腰痛に悩んでいませんか?
腰痛はなぜ起こると思いますか?結論の前にまずは腰痛の歴史から勉強してみましょう。

腰痛の歴史
とある整形外科では、腰の痛みを訴えて来院する人が来院患者さん全体の30〜50パーセントを占めています。
ある日の午後、私が外来を担当しているときにも、朝起きようとしたら急に腰が痛くなったという六九歳の男性、二日前に庭の草とりをした翌日から腰が張って痛むという四二歳の男性、保育園での母親との懇談会で三時間ほど床に横座りの姿勢をとっていたあと腰痛が起きたという三二歳の保母さん、体育館でバーベルを持ち上げ、降ろそうとした瞬間に腰に激痛が走り、以後体を動かすことができないという三五歳の男性、二年ほど前から背なかが丸くなり腰が痛かったが二、三日前から急に腰痛が強くなってやっと歩いてきた七○歳の女性、夜になると腰が痛いといって母親に腰をもむように訴える小学校五年の男の子など、腰の異常や痛みを訴える人が訪ねてきました。腰の痛みといっても、その原因は実にさまざまです。背なかや腰を支える筋肉の疲労による筋肉痛、予想以上に強い力が腰の筋肉に働いて起こったいわゆる〃肉離れ〃、腰の骨の関節部分のストレスや摩耗による痛み、椎間板の中身である髄核が出てきて近くを走る神経を圧迫して痛みを起こす椎間板ヘルニア、背ぼねの骨折、背ぼねの老化により引き起こされた痛み、骨のカルシウム分が減って骨がもろくなる骨粗しよう症により引き起こされた痛みなどなど、たいそう多彩なのです。

腰痛は古くから知られていたが……
しかし腰痛の原因はさておいても、腰痛は人が二本足で歩くようになって以来、たえずつきまとってきたものといえます。発掘された古代人骨についての研究では、自分自身の体重や重いものを背負うといった、たえず腰にかかるストレスに反応して骨が突き出してくる「骨練」と呼ばれる骨の変化が腰ぼねにも多く認められていますし、腰の痛みは現代よりもずっと多くの人に、しかも若い時期から存在したものと考えられています。老化による背ぼねの変化は、ネアンデルタール人の化石やエジプトのミイラにも見ることができます。
紀元前1500年ころにパピルスに書かれた古代エジプトの外科のテキストには、急に腰をひねったことで起きた腰痛のことが書かれていますし、「医学の父」と呼ばれた古代ギリシアのヒッポクラテスの論文にも、腰痛が多くの病気の一つの症状として表れることがあると書かれています。
このように古くから腰痛の記録はあるものの、腰痛の原因は長い間わからないままでその治療も洋の東西を問わず痛みをやわらげる民間療法が中心で、いざとなれば神仏に祈るしか方法がなかったようです。
たまたま伊勢志摩を旅したとき、筆者は志摩半島の先端にある大王崎灯台を訪れましたが、ここは大王町波切というイセエビやアワビ漁の盛んな小さな漁村です。波切のバス停を降りて民家の密集した間の細い路地を入ったところに、太平洋とはちょっとした丘でさえぎられて、こぢんまりした土塀に囲まれた手入れのゆきとどいた大慈寺というお寺がありました。このお寺は、がん封じ、足腰弱り止め願いのお寺だと知りました。今の世でも、このように腰の痛みをやわらげる一つの方法として、神や仏に祈ることが広く行われています。

腰痛の主な原因がわかったのは20世紀
医学的に腰痛の考え方に大きな変化が起こったのは、ようやく一九世紀に入ってからのことです。一八二八年、英国グラスゴーのロイヤル病院の医師であったブラウンは、背ぼねと神経の組織が腰痛の原因となるという考えをはじめて発表しました。
一方では、一九世紀後半になって産業革命が起こり、特に鉄道の建設工事による重症の外傷が増えるにつれて、腰痛も背ぼねの外傷によるものではないかと考えられはじめました。明らかな背ぼねへの外傷がなくても、小さな気がつかないような外傷の繰り返しで、腰痛が起こるのではないかと考える医師が出てきたのです。
一八九五年にX線が発見されたことにより、それまで調べることができなかった生きた背ぼねの状態を影絵として見ることができるようになりました。これ以後、X線は骨の病気を知る上で、もっとも有力な武器となり、いろいろな考えが腰痛の原因として取り上げられるようになりました。
一九三二年にはマサチューセッツ総合病院で、世界で初めての椎間板ヘルニアの手術が、神経外科医のミクスターと整形外科医のバールによって行われました。彼らは、それまで背ぼねの軟骨腫と思われていたものが、実は椎間板から突び出た髄核であることを明らかにし、これを「椎間板ヘルニア」と呼びました。椎間板ヘルニアが腰痛や坐骨神経痛の原因として知られるようになったのは、この手術がきっかけです。
一九三八年になると、アメリカのメイヨークリニックの医師ラヴは椎間板ヘルニアの手術例一○○例について報告し、さらに引き続いて一九四○年には、三○○例にもおよぶ椎間板ヘルニアの手術例について発表するにおよんで、椎間板ヘルニアの診断、手術方法がじょじょに受け入れられ、世界中に広まっていきました。
椎間板ヘルニアの手術方法としての「ラヴ法」は、今も標準的な手術法の一つとして使われています。
その後も今日に至るまで、腰の痛みを起こす原因は何かということについては、多くの研究が世界的に行われています。椎間板の異常が腰痛の主な原因の一つであることは、今も変わりませんが、椎間板だけを悪者にすることはできないこともわかってきました。背ぼねを構成しているほかの組織の異常によって起こる腰痛もかなりあり、場合によっては、椎間板以上に悪者であるかもしれないのです。

痛みはどのようにして起こるか?

本サイトでは腰痛がなぜ起こるのか、そしてその対処法はどのようにしたらいいのかを具体的に説明をしていきます。
どうぞ皆様の腰痛が治ることを心よりお祈り申し上げます。